事業承継 ~中小企業の事業承継とM&A 156~

こんにちは、畠です。前回のつづき「再生型のM&A(後編)」をお話していきます。

<事業承継>最後の生き残り策(後編)

第二会社方式による事業再生での注意点が一つあります。
それは『会社分割の濫用』です。
会社分割を実行するにあたり、新設する会社に承継する債務がある場合、当該債務について債権者の同意を得る手続きが必要です。これを『債権者保護手続き』と言います。承継しない債務についてはこの手続きを要しません。
また、承継する債務についても、重畳的債務引けによる債務承継とすることにより、債権者保護手続きを不要とすることが出来ます。(重畳的債務引受けとは分割元会社と分割承継会社の両社が債務支払いの義務を負うというものです。)

つまり、段取り次第で債権者の同意を得ぬまま、対象事業を抜き出すことが出来るということです。これは窮地にある企業の経営者にとって好都合なことかも知れませんが、債権者にとっては納得できない内容となりかねません。

特に事業資金を融資してきた金融機関にとっては、融資対象の事業が突然無くなることには問題があるのです。故に『事前の説明』が必要であり、その説明なしに会社分割を実行する事は会社分割の濫用と判断される可能性があり、最悪、会社分割が無効となる危険があります。

やはろ、事前の段取りや交渉には経験のある専門家に相談する事をお勧めします。

今回ご相談頂いた企業については、まずはスポンサーを探索し、スポンサー企業に対象事業を買収する事のメリットを納得頂いた上で、一連の分割スキームを実行に移しました。
現在も会社分割により新設した会社は、スポンサー企業の支援のもと事業を継続しており、当該事業に勤務していた従業員の雇用は維持されています。

企業は順風満帆な経営戦略が取れる環境を維持していくことが何よりですが、いざというときの方策を知っていることも大事ではないかと思い今回ご紹介させていただきました。

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事業承継 ~中小企業の事業承継とM&A 155~

こんにちは、畠です。
今回は、もしも企業が取り返しのつかない状況に陥った場合の「再生型のM&A」についてお話します。

<事業承継>最後の生き残り策(前編)

建設業を営むA社から事業再生の為の会社分割の相談を受けました。

建設業界は永きに亘り不況にありますが、そんな環境下でA社は過去の備蓄を礎に堅実な経営を続けていました。
しかし、業界でのある事件が発端となり自社の経営環境が一変、債務超過状態に陥っていました。債権回収は強固になり、次第に運転資金が枯渇していきました。

A社の社長は悩み苦しみ、最後にたどり着いた選択肢が会社の売却(M&A)でした。
しかし、時はすでに遅く、負債全てを含めてた会社の譲渡先はありませんでした。そんな中、浮上してきた案が事業再生のための会社分割です。

「会社分割」とは、会社自体は債務超過でも、事業そのものは健全な状態な場合、もしくは、健全な状態までに改善できる見込みがある場合にその事業たけを会社から切り出して生き残りを図るというものです。

一般的に「第二会社方式」と呼ばれています。

ここでの、最大のポイントは、会社分割により新設した会社を引き受けてくれるスポンサーの存在です。

事業再生のための会社分割は、一般的に設立経緯から金融機関の新規融資を受けにくいものです。
まずスポンサーが存在しないことには、事務的に会社分割の手続きが完了したところで、新設した会社の運転資金はすぐに行き詰ります。スポンサーの存在が必須ですが、当然スポンサーにもメリットが無いことには話が纏まりません。
そこで企業情報と豊富な交渉経験を持った専門家への相談が必要となります。

(次回へつづく)

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事業承継 ~中小企業の事業承継とM&A 154~

こんにちは、畠です。今回はブレーンの育成と強化(後編)と題しまして、
「ブレーンを選ぶ3つのポイント」と「創業社長のブレーン(旧幹部社員)への対処」
についてお話したいと思います。

<事業承継>ブレーンの育成と強化(後編)

◎ブレーンを選ぶ3つのポイント

ポイント1:人柄重視
ブレーンは社長の側近として会社の最重要事項に関わってもらうので、第一に信用の置ける人柄の良い人であることが大切です。社長は補佐役にイエスマンを望むので、社長に辛辣なことも直言できるような愛社精神旺盛な人格者が必要です。

ポイント2:社長の片腕を見極める
後継者教育と同時に、次期社長の片腕となる人物の養成も必要となる。社長の側近となることでエリート意識を持ち、権力を利用しようとする人物ではなく、新社長の欠点を補い、陰でお膳立てが出来るような本来の補佐役に適する人材を見いだし、育成することが重要です。

ポイント3:社外ブレーン(専門家集団を形成する)
中小企業では会社内部だけでは、良い人材がすぐには集まりません。新社長が困難に直面した時の相談相手として、弁護士・公認会計士・税理士などの専門家は社外の最も有力なブレーンとなります。それぞれの専門家の意見を有機的に結び付け、総合的な見地から状況判断する能力を養うことが大切です。そのために、優秀な専門家を選択する眼力も必要です。

 

◎創業社長のブレーン(旧幹部社員)への対処
社長を譲る時点で、新社長の為の新体制を確立する場合、旧幹部を自分の手で経営陣から外すことが必要です。また、社内で社長の新旧交代による混乱が起きないように、旧幹部の将来の心配をなくすことも重要です。

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事業承継 ~中小企業の事業承継とM&A 153~

こんにちは、畠です。今回はブレーンの育成と強化(前編)と題しまして、
「ブレーンの主な役割」と「ブレーンを育成するために社長に必要なもの」について
お話したいと思います。

<事業承継>ブレーンの育成と強化(前編)

創業社長はゼロから会社を起こした人ですから、ワンマン社長が多く、会社の礎を
共に築いた社員とは強い連帯感があります。
後継者である二代目社長が先代のブレーンであった古参社員をうまく活用すると同時に、
二代目社長の経営方針に沿ったブレーンを育成していくことが重要です。

◎ブレーンの主な役割

 ・社長の意思決定(決断)を補完すること

 ・社長の実行を補助・サポートすること

 ・社長の非を諌めること

◎ブレーンを育成する為に社長に必要なもの

 ・人間観察力・洞察力が不可欠

 ・自己分析の上で、不足部分を認識すること

 ・私欲を交えず、甘言を排除する

 ・他人の意見を聞く柔軟さと広い視野を持つこと

次回はもう少し詳しくお話します。

 

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事業承継 ~中小企業の事業承継とM&A 152~

こんにちは、畠です。前回の続きで「差し迫る競売期日…事業と雇用の行方は?!(後編)」をお伝えします。

<事業承継> 事業譲渡の決断

美術品の運送を専門に扱う中山運送(仮称)の悩みは「この先どのようにすれば取引先に迷惑をかけずに、更に従業員の雇用を守ることができるか」ということでした。そこで弊社より事業譲渡をご提案しました。お相手は、飲料・飲食の運送業を営み「同業他社との価格競争から、付加価値の高いサービスを提供できないか」と悩まれていた近藤物流(仮称)です。

両社にご提案したところ、すぐにトップ面談が組まれました。トップ面談では、両者の思いや経営理念が一致し、基本合意契約書の締結まで、一気に話が進みました。M&Aの話が進む一方で中山運送の事務所や倉庫の競売の期日が押し迫っていました。銀行へ交渉するも時間がなく、競売を止めることができない状況でした。美術運送業を営むためには、倉庫は重要な役目を果たしており、第三者へ売却されれば中山運送の事業譲渡は成立しない可能性がありました。

譲受企業の近藤社長(仮名)は、事業譲受後の経営戦略をすでに完成させており、即競売に参加することを決断しました。そして、中山運送の倉庫を無事落札することができ事業譲渡が成立しました。中山社長(仮名)を含め、中山運送の全従業員が近藤物流へ入社し、同時に近藤物流は、顧客や取引先を承継することとなりました。残った中山運送は、中山社長の個人資産と事業譲渡代金で清算することになりました。

今回、譲渡企業の中山運送は従業員や取引先へ迷惑をかけることなく清算でき、かつ地域文化の発展に貢献できる美術運送事業を残すことができました。
 一方、譲受企業の近藤物流は今まで競い合ってきた同業他社から一歩抜き出ることができて新たな事業の柱を得ることができました。

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事業承継 ~中小企業の事業承継とM&A 151~

こんにちは、畠です。今回は、「差し迫る競売期日…事業と雇用の行方は?!(前編)」としてM&Aの事例をご紹介します。

<事業承継> 事業譲渡の決断

老舗運送業の中山運送(仮称)は美術品を専門に扱う運送会社です。社員は運転手というより、技術者と言っても過言ではないほどに美術品の扱いに定評がありました。

売上は毎年堅調に推移していましたが、親族が経営している会社の倒産に伴う保証債務の履行により、多額の負債を背負うこととなりました。
中山社長(仮名)は資金繰りに奔走し、会社を立て直す努力をしてきましたが、ついに会社の所有する事務所や倉庫が、競売に出されることになりました。

中山運送の倉庫は、単に物を保管する場所ではなく、美術品の審査会場としての機能も兼ね備えており、業務を行う上で、とても重要な役割を果たしていました。
もちろん、会社所有の不動産が無くなってしまえば、事業を停止せざるを得ません。そうなれば、今まで苦悩を共にしてきた従業員を解雇することになり、取引先にも迷惑をかけることになります。北陸において、美術品を専門に扱う運送会社は中山運送以外になく、地域文化の発展になくてはならない存在でした。

中山社長は、一体どうすれば取引先に迷惑をかけず、更に従業員の雇用を守ることができるのかと頭を悩ませていました。そこで弊社より、事業譲渡による事業承継を提案させて頂きました。

一方、今回の譲受企業となった近藤物流(仮称)の近藤社長(仮名)も異なる悩みを抱えていました。近藤物流は、飲料・飲食の運送業を営んでおりましたが、景気の低迷や、同業他社との価格競争から、売上は堅調に推移しているものの利益が上がりにくく、漠然とした危機感を持っていました。

近藤社長は、運送業の中でも、付加価値の高いサービスはできないものかと頭を悩ませていました。そこで弊社より、中山運送の事業譲渡による譲受を、ご提案させて頂きました。 この続きは次回でお話します。

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【用語解説】事業譲渡
 必要な財産を抜き取り譲渡する事
○メリット
・簿外負債の承継なし
・節税効果
・手続きが簡略
○デメリット
・手続きが煩雑
・許認可や特許の引継ぎができない可能性が高い
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事業承継 ~中小企業の事業承継とM&A 150~

こんにちは、畠です。今回は前回に引き続き、持株会社による株価の引き下げについてお話します。

<事業承継> 高収益部門の事業譲渡

1.事業譲渡による事業承継対策

後継者に新会社を設立させ、既存会社の高収益事業部門を事業譲渡する方法により、事業承継対策になることがあります。
中小同族企業において、業績がよくなれば利益が計上され、内部留保が厚くなり、その結果オーナー社長の相続対策が必要となってきます。

特に、類似業種比準価額方式によれば、「利益」は「配当」、「純資産」に比べて3倍の影響を与えるので、利益を下げることが、株価評価を下げることになります。

高収益部門を新会社に移すことにより、今後の利益は新会社に蓄積され、生前に事業承継した形になります。旧会社の収益性は落ちるので、今後の自社株評価額の増大を懸念する必要はなくなります。

2.人員に転籍

旧会社から新会社へ従業員を転籍される場合は、いったん旧会社で退職金の支給が必要となるので、それによっても旧会社の株価を下げる要因になります。
また、新設会社において、退職金債務の問題を回避するため、退職金制度のない新しい報酬制度へ移行することも考えられます。

3.旧会社からの新会社への資産の賃貸

事業譲渡によれば、資産の移転は時価で課税されてしまうので、資産は旧会社に残しておくことが得策かもしれません。
この旧会社に残した資産(不動産)を、新会社に賃貸することにより、土地は貸家建付地、建物は貸家評価になり、旧会社の株価評価が下がります。

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事業承継 ~中小企業の事業承継とM&A 149~

こんにちは、畠です。創業より黒字が続いてきた会社は相続対策が必要となってきます。後継者やご親族のためにも早い段階から準備をしておく必要があります。今回は持株会社による株価の引き下げについてお話します。

<事業承継> 持株会社による株価引下げ

その1 持株会社の創設

会社分割や株式移転などを活用し持株会社を創設することにより、事業の効率化及び株価を引下げることが出来る場合があります。

会社分割は税法上「適格組織再編」の要件に該当すれば、資産・負債を簿価で移転できるので、課税関係は生じません。ここでは、グループ内組織再編成で100%の持分関係での分割なので、「適格組織再編」の要件に合致します。

その2 事業承継対策としての持株会社

一般的に、純粋持株会社は保有する資産が株式だけであるため、株式保有特定会社になります。
純資産価額のみで評価されるので、相続税の評価額は持株会社を創設しても変化はありません。

相続対策も兼ねる場合には、まず株式保有特定会社に該当しないようにします。

そうすると会社の規模区分に応じて純資産価額だけでなく、類似業種比準価額も株価の算定に織り込むことができるようになり、株価を下げる要因を作ることが可能になります。

しかし、企業再編税制には、租税回避防止規定があるので、事業の効率化のための持株会社設立をめざしたうえでの、付随的な効果として享受する必要があります。

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事業承継 ~中小企業の事業承継とM&A 148~

<事業承継> 企業価値の向上(プレM&A)

プレM&Aとは、M&A実行に向けて事前準備をしていくことです。

M&Aを成功に導くためには、自社の将来ビジョンや戦略を出来るだけ明確化し、M&A後に期待する相乗効果をイメージしたうえで、適合する相手先企業を探索することが重要です。

M&Aを実施する目的が曖昧ですと、なかなか話が纏まらないことや、仮に纏まったとしても後々に多くの課題が発生する可能性があるのです。

プレM&Aの事例紹介
工作機械等の板金加工を手掛けるA社は、従業員20名ほどの中小企業です。
社長の
石川様(仮名)は65歳で後継者は不在です。会社の経営状況はリーマンの影響もあり、業績は低迷しています。

更に、現場を任す幹部社員に少々課題があり、それらを踏まえると石川社長が望むようなM&Aの実現は難しい状況でした。そこで取り組んだのが、M&A自体は伏せて、業績の立て直しの為の幹部社員教育でした。

現場を仕切る幹部社員が会社の方向性をしっかり認識したうえで、現状把握をすること、そしてそのギャップを埋めていくことが業績回復には重要です。
具体的な取り組み内容は、幹部社員との面談による業務の洗い出しで、現状のムリ・ムダ・ムラの排除と、各担当が担うべき役割を整理し、認識させることに注力しました。

一般的に、幹部に現状のまま推移した場合の会社としてのリスクを認識させることが重要であり、それが自主性を育むと言われます。

結果、環境の変化も好影響し、業績はかなり回復しました。また何より幹部社員の意識の変化が少しずつ出てきたことが非常に良い成果であったと思います。

現在、A社は会社永続の為のM&Aを改めて検討中されています。

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事業承継 ~中小企業の事業承継とM&A 147~

こんにちは、畠です。今回は、「M&Aにより新活路開拓の成功事例(後編)」をお伝えします。

<事業承継> M&Aによる新たな活路の展開

前編では、自動車販売・修理業は以前のような勢いがなくなってきており、S社の経営も少しずつ厳しくなってきている状況の為、可及的速やかに何らかの対策を打つ必要があったという話しをしました。

■事例内容

譲受側企業はN社という運送業です。社長の山田様(仮名)が奥様と2人で起業し、今では車両150台余りを所有する規模に成長されました。

運送業においては、当然にその所有する車両の車検等整備費が発生します。N社においても年間数千万円の整備費用が発生していました。

社内には整備士の有資格者がいましたが、整備工場はなく、『車検等整備に関する一部内製化』というご提案を小阪社長に申し上げたところ、迅速なご決断を頂き成約となりました。

譲渡側の社長と専務は、取締役は辞任となったものの、山田社長の意向を受けそのまま勤務継続となり、現在も好きな仕事に携わっておられます。

今回ご紹介したS社は、N社のグループ傘下でその活路を見出し、元社長と元専務を含め社員全員の雇用が継続でき、得意先様や仕入先様の取引も継続しています。

仲介した私どもとしても、S社の永遠とN社の更なるご発展を願って止みません。

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